『あなたと合気道と音楽と〜道からアートへ〜』One Step Beyond/アーティスト集団 フォトレポート
「合気道」と「音楽」。
一見まったく違う性質を持っているように思えますよね。
でも実は、「相手と呼吸や間などの気を合わせていく」という点が共通しているのです。
気が調和するほど、美しい演武や演奏がうまれます。
合気道は武道であり、武術ではありません。
合気道に試合や勝敗は存在せず、相手を打ち負かすことよりも、相手と調和することを大切にしています。
「呼吸を合わせ、相手の力に自分の力を合わせる」
それは簡単なことではなく、10年以上合気道をされている先生でも、「まだ合気道を会得しきっていない」とおっしゃっていました。
そして今回は、合気道の「気」に、さらに音楽家の「気」を合わせていく、
実験的な「アーティスティック演武」を披露していただきました。
演武に先駆けて、まるで同じ空間にいる全員の気やテンションが
ぎゅっとまとまっていくようなさまざまなプログラムを行いました。
ヴァイオリンとパーカッションによるミニライブ。
みんなで輪になり、打楽器を用いて即興的に音を合わせていくドラムサークル。
参加者の方とパーカッショニストの鈴木さんのゲリラセッションや、ヴァイオリンと合気道の体験。
多彩な音に合わせてこどもたちがクルクルと踊ったり笑ったり、
合気道の技による「力を打ち消される」新感覚に驚かれたりと、
空間のあちこちでさまざまなエネルギーがうまれていました。
そしていよいよラストのアーティスティック演武。
合気道演武の気や間に合わせて、ヴァイオリンとパーカッションでセッションを行なっていきます。
合気道の園田師範の、背筋がスッとのびる掛け声とともに、
音で満ちていた空間が一変してシンと静まり返りました。
音楽に合わせて。演武に合わせて。
お互いがお互いを引き立て合うように、演技が繰り広げられます。
「合気道」と「音楽」。
普段交わらないもの同士が合わさることの新鮮な意外性、
はじめて合気道を見る方も演武に入り込みやすい音楽の力、
合気道の、力を避けるような滑らかで美しい所作。
想像もしない組み合わせの調和は、わたしたちに新しい門戸を開いてくれたはずです。
2024/10/27|アートスクール