6月中旬〜 【旧暦】伝承行事展示『中国の端午節』

「中国の端午節」 6月19日 端午の節句(旧暦5月5日)

ショウブやヨモギが魔除けになる。これは中国も韓国も日本も共通する考え方
今私たちにとって「端午の節句」といえば、若葉が萌え出る爽やかな薫風の季節。ところが旧暦ではジメジメと暑い梅雨の頃でした。ものが腐り疫病が流行る季節の始まりです。この日に薬玉を作ったり、軒ににショウブとヨモギの束「軒菖蒲」を置いたりするのは、この厳しい季節を無事に過ごせるようにとの願いがこもった風習です。この日に刈った薬草は薬効が強いとされ「薬降る日」ともいわれました。明治以来日本では新暦を採用していますが、中国や韓国ではいまだに季節の行事を旧暦で行っています。「正しい日取りでやらなければ意味ないよ」これは私が中国の農村を訪ねた時に、農家の長老にかけられた言葉です。それ以来その言葉がずっと心のどこかにありました。それほど年中行事は季節の気候、農作業や暮らしと強く結びついているものだったのです。日取りは違ってしまっていても、同じ東アジアの国ではそれぞれの端午の行事が行われてきました。その姿は、同じようでいて少し違う。違うようでいて同じ心が流れている。長い歴史の中で、誰がどのようにこの行事を伝えたのか、そしてそれぞれの風土や気質に合ったものに変わりながら繰り返されてきたのか、興味は尽きません。

今回は、中国の「端午節」のことをご紹介しましょう。中国では、夏至に近いこの日を「悪月悪日」とし、ヨモギ、ショウブ、フジの蔓などを門に掛け、鍾馗(しょうき)の絵を貼って魔除けとします。ヨモギで作った人や虎、「艾人」「艾虎」を軒につるすところもあるそうです。面白いのは、ヘビ、サソリ、ムカデ、トカゲ、クモの5種類の毒虫を切り紙や刺繍にして飾る風習。これらの毒虫は命に関わるものとして恐れられていましたが「五毒符」として全部揃うとお守りになるというのです。母達は、子供を守るために「五毒」の図柄を配した衣服などを作りました。また、五色の糸を腕に結んだり、虎が守神であるとして、帽子や靴、小さなぬいぐるみにし子ども達を飾り立てました。古代には蘭の花の湯浴み「蘭浴」やヨモギ、ショウブ、ハクモクレン、ホウセンカなどの花を浸した湯に入る風習も。これがきっと私たちもする「菖蒲湯」の源流となったのですね。ヨシやササ、マコモなどで包んだちまきもこの日になくてなならない食べ物です。今でも各地で様々な特徴のある味と形のちまきが作られ、故郷の味として親しまれています。

展示も中国の端午節にちなんだもの。長い時をかけて伝わった行事、東アジアの親しい友に想いを馳せてみましょう。

日時 6月中旬〜
対象 どなたでも

下中菜穂造形作家 暮らしの手仕事・伝承行事研究

江戸時代の切り紙「もんきり」と出会い、暮らしの中で息づいてきた「切り紙」や伝統的な「かたち」、風習、行事などを研究。日本各地、中国などをフィールドワーク。書籍の出版やワークショップ、展覧会などを通して私たちの今の暮らしの中に活かす活動を続ける。「知る、やってみる、問い続ける」をモットーに、旧暦の日取りで行う実験的なワークショップ「旧暦カフェ」を主宰。

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