【旧暦】伝承行事展示『茅の輪』下中菜穂・松田牧恵
さあ、夏だ!これからグングン蒸し暑くなる。そんな季節になりました。
みなさんは、6月末が近づくと神社に現れる不思議な草の輪っかを見たことがありませんか?もしかしたら、近所の神社にもあるかもしれません。ぜひ探してみてください。
これは、この茅(チガヤ)という草で作った「茅の輪(ちのわ)」です。 この輪をぐるぐるとくぐると、正月からの半年の間に身についた悪いものを祓い病気にならないといわれています。これが「夏越の祓い(なごしのはらい)」の行事です。 平安時代の絵巻、江戸時代の本などを見ると、「茅の輪」をくぐっている絵を見つけることができます。
小さい「茅の輪」を身につけると災厄除けになるという物語も伝わっています。 なぜ、輪っかをくぐるのでしょう?どういう意味があるのかな?いつ頃からやっているのかな? なぜチガヤ?…長い時を超えて伝えられてきた行事には、謎がいっぱいです。
また、6月1日をムケノツイタチと言って、蛇が脱皮するように人間も皮を脱ぐ日だとする地域もあるそうです。蛇が脱皮するのを「生まれ変わる」姿とみて、人間も蛇のような強い生命力を身につけたいと願ったのかもしれません。
昔は今よりもずっと、夏は病気や事故で亡くなる人が多い危険な季節でした。 それらを乗り越えるための知恵が、行事のなかに潜んでいるかもしれません。
今もコロナ禍や戦争など、私たちの周りにはたくさんの災厄や困難があります。それをなんとか乗り越えたいと願う気持ちは、昔と変わらないかもしれないですね。
ちょっと小さいけれど、ここに「茅の輪」を作ってみました。 道端や空き地、川原などを歩き回って探し、集めたチガヤやイネ科の草を使いました。
草の香りをいっぱい吸い込みながら、くぐってみてください。 そして、この行事の意味やご先祖さまたちの願いを想像してみてください。