【旧暦】伝承行事展示『亥の子(いのこ) 十日夜(とうかんや)』

亥の子(いのこ) 十日夜(とうかんや)は旧暦10月7日と10日、2025年の新暦では11月26日、29日にあたります。
十月の最初の亥の日に行われる行事が「亥の子」。
主に西日本で盛んです。東日本で旧暦十月十日に行われる「十日夜」「カカシ祭り」と呼ばれる行事は、これとよく似ています。
そもそも、「亥の日」って何のこと?
旧暦では、それぞれの日に、十二支の<子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥>が当てられていました。
これは、十二日ごとに繰り返されるので、毎年同じ日が同じ日取りになるとは限りません。
この暦の十二支には、陰陽五行説という中国から伝わった考え方が込められており、
かつては生活のさまざまな場面の指針になっていました。
「亥」は冬の気であり、万物の生命力が衰え、草木が枯れ、種子の中に生命のもとが宿された状態を象徴します。
さて、この「亥の日」に、どんなことをするのでしょう?
まず、こどもたちは、藁で「藁でっぽう」と呼ばれる棒を作ります。
これで地面を思い切りバシンバシンと叩きながら「亥の子唄」を大声でうたい、村の家々をめぐるのです。
家々では「亥の子餅」を作ってこどもたちをもてなすのだといいます。お菓子やお小遣いを配ることもあるようです(これはハローウィンとちょっと似ていますね)。
西日本では、大きな石に縄をかけ、大勢で持ち上げながら、
どずんどすんと地面を叩く「亥の子突き」をすることろもあります。
長い間人々の間で続けられてきた行事の意味は、時代や場所によって変化し、
忘れられたりしてきたので、これが正解というものはありません。
この行事も謎はいっぱいですね。
この時期は、農作物の収穫が終わり、季節が秋から冬へと移りゆく頃。
人々は春に山から降りてきた田の神さまは、冬には再び山に帰るのだと考えてきました。
収穫を祝い、次の季節の豊作を祈る。
この行事は、冬に向かって衰えつつある「生命力」を再びかき立てるための呪術だったのでないでしょうか。
使い終わった「藁でっぽう」を実のなる木に吊るしておくと、よく実がなる、という地方もあるようです。
藁でっぽうで打ち合う子供達のあふれる活力が、大地の神様を励ますようです。







