『食べる読書会 〜いろりで栃餅を焼きながら、食の原点にダイブ!〜』三上奈緒/旅する料理人・文筆家 フォトレポート
絵本『モチモチの木』に登場する「モチモチの木」。
「昔、学校の授業で読んだのが懐かしい」「ちょうど今、学校で習っているところ!」と、大人にとっても子どもにとっても親しみ深い物語です。今回は、そのモデルとなった「栃の木」をテーマに、旅する料理人の三上奈緒さんをお迎えして、「食べる読書会」を開催しました。
講座は、三上さんからの「モチモチの木って、何の木か知ってる?」という問いかけからスタート。
前日に三上さんが拾ってきてくださった本物の栃の実を手に取り、じっくり観察してみます。
「初めて見た!」「栗みたい」「つやつやしていてきれい」
実際に触れてみることで、絵本の中に登場する「栃の実」が、ぐっと身近なものになっていきます。
続いては、三上さんによる『モチモチの木』の読み聞かせ。
物語に耳を傾ける子どもたちの傍らでは、お母さんたちが囲炉裏を囲み、栃餅(とちもち)を焼きながら、あんこをコトコト煮ていきます。囲炉裏の火を囲みながら、絵本の世界と昔の暮らしが重なっていくような、温かく豊かな時間が流れていました。
読み聞かせが終わると、子どもたちも楽しみにしていた焼き作業へ。
囲炉裏端で栃餅と海苔のお餅をじっくり焼き上げ、三上さん特製のあんこを添えて、「いただきます!」
おいしく味わいながら、今度は物語に出てくる昔の言葉について、みんなでお話ししました。
「『あおじし』ってなんだろう?」
「なんで“青”なのかな?」
「“じし”ってどういう意味?」
「昔は、どうやって栃の実が運ばれたんだろう?」
ひとつの言葉をきっかけに、物語の背景にある昔の人々の暮らしや知恵にも、想像が広がっていきます。
子どもたちはもちろん、お母さんたちも興味津々。絵本を読むだけでは見えてこなかった世界を、食べたり、触れたり、考えたりしながら、みんなで楽しみました。
最後は、あく抜きをしていない「生の栃の実」をカットして、みんなで味見してみることに。
口に含んだ瞬間、思わず顔をしかめる子どもたち。栃の実の渋さに、思わずみんなから笑みがこぼれます。
栃の実には強い渋みがあり、そのままでは食べることができません。食べるためには、水にさらしたり、灰汁(アク)を使って煮たりと、長い時間と手間をかけないといけません。
そうした加工の手間から、現代では栃の実を食べる機会も少なくなりました。一方で、今も日本のあちこちに栃の木は自生しています。栃の実を加工できる人が少なくなっている今だからこそ、昔の人たちが創意工夫を重ね、大切に食べてきた文化や知恵を未来へ残していく必要があるのかもしれません。
絵本の世界を飛び出し、栃の実に触れ、味わい、囲炉裏の火を囲みながら、昔の人々の暮らしに思いを馳せる。五感を通して「食と自然のつながり」を体感した、特別で豊かな秋のはじまりの一日となりました。










2026/09/20|アートスクール
