おしらせ

日本の郷土ごはん vol.35 『大分:お方ずし』 フォトレポート

伝統的な郷土料理をみんなでつくり、各地を旅する気分でおいしくいただく「景丘の家 こども食堂」。
今月は大分県の郷土料理「お方ずし」「鶏汁」「こねり」をつくりました。

「お方ずし」は焼いてほぐしたアジと甘く煮た豆をすし飯に混ぜ、俵形に握ったもの。「お方」とは庄屋(村役人)を指し、その昔、農繁期前の行事で庄屋が小作人を労ってふるまったのが始まりといわれています。

「鶏汁」は一世帯当たりの鶏肉購入量が全国トップレベルの大分県らしい一品。さまざまな鶏料理がある中、身や内臓は鶏めしややがめ煮に、残りの鶏ガラは鶏汁に・・・と、余さず使う知恵から生まれました。

「こねり」は、いりこと野菜を油で炒め、出汁で溶いた味噌、砂糖、小麦粉を加えて、練るように混ぜた素朴なおかず。粉を入れて練ることからこの名が付いたそうで、程良いとろみが特徴です。

こどもたちは今日も大忙し。こねり用の茄子とピーマンをそれぞれ輪切りと千切りにし、いりこと一緒にフライパンで炒めます。はねる油にドキドキしながら炒め終えたら、味噌、砂糖、小麦粉をしっかり水で溶いてから味付け。粉に火が入って少しずつとろみがついてくると「早く食べたい!」の声が続出しました。

鶏汁のもも肉は、なるべく小さく切るのが特徴です。丁寧に切り揃えたら、ささがき牛蒡と一緒にだし汁でグツグツ煮込みます。同時に、お方ずしの準備も進めなくては! 炊きたてごはんにすし酢を入れて混ぜ、アジと煮豆も加えて、俵型に。大きさをそろえながら丁寧に握り、たくさんのお方ずしが完成しました。

今回は、景丘の家のご近所にあるバカルディ ジャパン株式会社様からいただいた立派な大根も活用。やさしい味わいのふろふき大根が、食卓に彩りを添えました。さらに、株式会社ジャックスさまから焼き菓子のプレゼントまで! 地域のご協力やつながりに支えられながら、こどもたちの笑顔がいつも以上に輝いた一日でした。

“みんなでつくって、みんなで食べる。”

今回も「大地を守る会」「ツルハグループ こども食堂ゆたかさ基金」をはじめ、多くの方々のご協力のもと、こども食堂を開催することができました。
心より感謝申し上げます。

 

2026/02/28|景丘の家・こども食堂

『一閑張りワークショップ〜古いものに新たな命を吹き込む〜』上山シャネル/アーティスト フォトレポート 

お気に入りだけれど、少し傷んでしまった籠。
使い道に迷っていた木箱。
手放せずに残していた古い布。
今回のワークショップでは、そんな“家の中の気になる何か“を持ち寄り、
日本の伝統工芸「一閑張り(いっかんばり)」の技法で、新たな表情へとよみがえらせました。

一閑張りは、籠や陶器、木製品に和紙を貼り重ね、柿渋などで仕上げることで、
強度・耐久性・耐水性・抗菌性を高める実用の工芸。
壊れた籠を修理したり、器の表面を補強したり——暮らしの道具として、家庭の中で受け継がれてきた知恵でもあります。

当日はまず小麦粉糊づくりから。
鍋で糊を、ちょうど良い具合に練り上げます。
会場にはさまざまな和紙や布切れが並び、それぞれにインスピレーションのままに制作を進めました。
一閑張りの面白さは、貼り重ねによって生まれる“層”の表情。
貼る・重ねる・撫でる。
手作業の積み重ねが、自分だけの愛着ある一点になっていく時間でした。

一閑張りは、古いものを“直す“だけではなく、手作業の時間を重ね直すような技法。
傷や跡も紙の層の中に取り込まれ、世界にひとつの景色になっていきました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

 

 

 

2026/02/21|アートスクール

『教えてほしい、要一郎さんのお弁当』麻生要一郎/料理家・文筆家 

2月に入ってすぐの土曜日、夜時間の景丘の家は大人の方々で賑わっています。

今日は料理家であり、文筆家としてもご活躍な麻生要一郎さんをお迎えしてお弁当についてのあれやこれを教えて頂きました。

お弁当ってとても身近なものだけど、いざきちんと作ろうと思うと、なんだかハードルが高かったりしませんか?

お弁当を作るにあたって、気にかけていることや使っている調味料の話など、参加されている方々の疑問にひとつひとつ柔らかに応えてくれる要一郎さん。

お弁当のおかずは、、、
唐揚げ・焼き魚・卵焼き・青菜のおひたし・切り干し大根・うりの粕漬け・みょうがの酢漬けです。

名物と言ってもおかしくない、要一郎さんのお品書きから始まったお弁当作り。

それぞれのテーブルに分かれておかずを準備していきます。

卵焼きをうまく焼くコツは 何度も焼くこと!!
本当にその通りで、回を重ねるうちにとてもふわふわであたたかい卵焼きが焼けていました。

皆さんが気になっていた要一郎さんの唐揚げは、梅酢とお酒で下味をつけます。
鶏肉の色が白くなってきたら、味が染み込んできたサイン。
卵にくぐらせて片栗粉をつけたら、しっかり色がつくまで揚げるのが要一郎式です。

青菜のおひたしと切り干し大根も、要一郎さんらしい、とっても優しい味付け。

さぁおかずができたら、お弁当に詰めましょう。

卵焼きから詰める要一郎さんを目の前に、皆さんびっくり。
お米からじゃないんですか???という言葉に、たくさんの方がうんうんと頷く場面も。

『こうして詰めたらゆすっても、ずれないでしょう?』

目にも口にも美味しいお弁当のおかずを、要一郎さんから教えていただいたように詰めていく皆さんの表情はとても真剣で素敵でした。

詰めたらみんなで囲炉裏を囲んで、お弁当を食します。

丁寧に気持ちをこめて作ったお弁当は、どれをとっても幸せな気持ちにしてくれます。

家族や大切な人に、そして自分にも。
今日のことを思い出しながら、お弁当作りをしてくれたら嬉しいです。

要一郎さんのお弁当に込められたおもいが、これからもたくさんの人に届きますように。

     

2026/02/21|アートスクール

『光るすいぞくかんをつくろう』STUDIO pippi しげおかのぶこ/toy designer フォトレポート

こども向けワークショップ『こどもじっけんしつ』を通して、楽しいものづくりやあそびを提案しているSTUDIO pippi・しげおかのぶこさんによる『光るすいぞくかんをつくろう』は、海のいきものをテーマに開催しました。

図鑑で見魚お魚やクラゲや、ちんあなご。そして「こんなのいたら面白い?」という空想の生き物まで、子どもたちはのびのびとダイナミックに描き出します。

下描きのあとは紙を切り抜き、いつもと少し違う絵の具を使って、点や線など自由に彩っていきました。太い筆で大胆に塗る子もいれば、細かな模様を重ねている子など、表現は実にさまざま。完成した作品を持って地下へ移動し、壁一面に貼り出して“みんなの水族館“が完成です!

最後に照明を落として特別なライトを当てると、暗がりの中で絵の具がふわりと光り、魚たちが現れて海の中にいるようでした。少しの手間と工夫でいつもと違う想像力が味わえる、そんなひらめきのある体験となりました。

 

2026/02/10|アートスクール

『パレスチナのおやつクナーファを作ろう ~そのクナーファはだれのものか~』山田柊/クナーファ屋 店主 フォトレポート

夜のアートスクールにて、パレスチナ・シリアで親しまれている伝統的なおやつ
「クナーファ」をつくるワークショップを開催しました。

講師は、クナーファ屋店主の山田柊さん。
学生時代からアラブ地域の紛争や難民問題に関心を寄せ、関わり続ける方法としてクナーファ屋を始めた山田さんは、お店を営む中で生まれてきた問いを大切にしながら活動されています。

今回は、ただ作って食べるだけではなく、山田さんがお店を営む中で考える「消費」というテーマを持ち寄り、みんなで対話を通して考える時間となりました。

はじまりは、いろりを囲んでの自己紹介。
「今日呼ばれたい名前」とその理由を一人ずつ共有していきます。
ニックネームや、普段はあまり呼ばれない名前。
その人らしさや今の気持ちが自然と表れていて、はじめまして同士の緊張も少しずつほどけていきました。

続いて、「消費」について、みんなで問いを出す時間。
時間の消費、ものの消費、心を満たすための消費。
「自分にはどのくらいのものが必要なんだろう」
「なぜ消費には、どこかネガティブなイメージがあるんだろう」
日常の中でふと感じていた小さな違和感が言葉になり、身近なテーマからいくつもの問いが立ち上がっていきました。

話してもいいし、話さなくてもいい。
自分の言葉を大切にすること、人の話をしっかり聞くことをルールに置いた対話の時間。
はじめての対話でしたが安心して参加できたという声もありました。

一旦それぞれの問いを横に置き、キッチンへ移動してクナーファづくりへ。
小麦粉でできたサクサクの生地に油を混ぜ、たっぷりのチーズを敷き詰めていきます。
「これは何からできているんですか?」
「現地ではどんなふうに食べられているんですか?」
手を動かしながら、自然と質問や会話が生まれていきました。

大きな鉄板ひとつを囲み、みんなで同じ作業をする時間は、不思議と人と人との距離を縮めていきます。
鉄板にきれいに敷き詰められたクナーファはいろりへ。
山田さんが丁寧に焼き上げていく間、再び輪になって対話の時間です。

問いのテーマは、参加者みんなで選んだ「自分の時間の消費について」。
仕事や家事、自分が豊かだと感じる時間。
私たちは日々、何に時間を使って、どう感じているのだろうか。
20代から60代まで、それぞれの人生のタイミングや背景によって、
「消費」の捉え方の違いがあるのも印象的でした。

どんなふうにものや時間と関わっていきたいのか。
自分が取り入れていくものについて、さらに問いが生まれた時間になったように感じました。

クナーファの焼き上がりとともに、対話の時間はいったん終了。
こんがりと焼けた表面にシロップをかけて切り分けると、
中のチーズがのびる!
はじめて食べる食感と、どこか親しみのある味に、
みなさんから笑顔が見えました。

食べながらも、感想を伝え合ったり、さきほどの問いにもう一度立ち返ったり。
食べることと考えることが、ゆるやかにつながる豊かな時間でした。

自分と消費との関係について、すっきりする答えが出なかった方もいるかもしれません。
「わからない」で終わらせるのではなく、わからないなりに話し、知ろうとすること。
誰かと話すことで逆にモヤモヤすることがあるかもしれませんが、
そのモヤモヤが思考の広がりをつくってくれるのかもしれません。

対話とクナーファが静かに交差したこの時間が、
参加者のみなさんの日常を、ほんの少し違う角度から見つめ直すきっかけになっていたら嬉しいです。

 

2026/01/24|アートスクール