2/5(日)~
【旧暦】伝承行事展示
『旧暦で行事をやってみる ~ 小正月 ~』下中菜穂
みなさんは、「旧暦(きゅうれき)」という言葉を知っていますか?
実は150年ほど前の江戸時代までは、今私たちが使っているカレンダー(新暦)とは違う暦(こよみ)が使われていました。これを「旧暦」と呼びます。この暦は月の満ち欠けに合わせて、新月が1日、満月が15日となるように工夫されていました。
人々の暮らしや行事は、長い間この暦に合わせて組み立てられてきました。
明治になって突然、これを太陽の動きにあわせた暦に変えることになりました。
なんと、その年は約1ヶ月も早くお正月が来てしまったのです。当時の人々はさぞびっくりしたでしょうね。それ以来、季節に合わせて行ってきた行事を本来とは違う日にやることになったのです。その混乱ぶりはどれほどだったか想像してみてください。
この出来事によって、意味がよくわからなくなってしまった行事もたくさんあります。
改めて旧暦に合わせて「やってみる」ことで、本当の行事の姿を探ってみましょう。
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お正月を過ぎ、新しい年の暦もだいぶ進んできました。
ところが、少し前まで日本では約1ヶ月遅れの今頃が新年でした。
今でもお隣の国、韓国や中国は新しい暦を使いつつも、新年のお祝いは旧暦通り。この時期に新年を祝います。
お正月のことを「新春」といいますが、これも立春の前後、春の兆しが濃くなるこの時期にこそふさわしい言葉ですね。
日本では古くから1月1日の元日を中心した「正月(大正月)」だけでなく、
1月15日を中心とした「小正月」があり、それぞれ異なる行事をしてきました。
「小正月」は豊作を祈る「ツクリモノ」や「削り花」「繭玉」「団子の木」などを飾ったり、
その年の農作物の出来を占う「粥占い」や「豆占い」をします。
1年の農作業の真似をする「庭田植え」や、実のなる木に小豆粥をあげ、傷をつける真似をする「成木責め」など
面白い風習がたくさんあります。どれも豊かな実りを願って行われました。
小正月ツクリモノを実際に作ってみました。
かつては紙は贅沢品。身近にあるもので工夫する暮らしでした。
木を削って白くてきれいな花を作る風習が各地に残されています。
冬の寂しい景色の中で真っ白な「削花」を咲かせたご先祖さま達の手技に脱帽です。
日時 | 2/5(日)~ |
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対象 | どなたでも |
参加費 | 無料 |
下中菜穂造形作家 暮らしの手仕事・伝承行事研究
江戸時代の切り紙「もんきり」と出会い、暮らしの中で息づいてきた「切り紙」や伝統的な「かたち」、風習、行事などを研究。日本各地、中国などをフィールドワーク。書籍の出版やワークショップ、展覧会などを通して私たちの今の暮らしの中に活かす活動を続ける。「知る、やってみる、問い続ける」をモットーに、旧暦の日取りで行う実験的なワークショップ「旧暦カフェ」を主宰。