おしらせ

『一閑張りワークショップ〜古いものに新たな命を吹き込む〜』上山シャネル/アーティスト フォトレポート 

お気に入りだけれど、少し傷んでしまった籠。
使い道に迷っていた木箱。
手放せずに残していた古い布。
今回のワークショップでは、そんな“家の中の気になる何か“を持ち寄り、
日本の伝統工芸「一閑張り(いっかんばり)」の技法で、新たな表情へとよみがえらせました。

一閑張りは、籠や陶器、木製品に和紙を貼り重ね、柿渋などで仕上げることで、
強度・耐久性・耐水性・抗菌性を高める実用の工芸。
壊れた籠を修理したり、器の表面を補強したり——暮らしの道具として、家庭の中で受け継がれてきた知恵でもあります。

当日はまず小麦粉糊づくりから。
鍋で糊を、ちょうど良い具合に練り上げます。
会場にはさまざまな和紙や布切れが並び、それぞれにインスピレーションのままに制作を進めました。
一閑張りの面白さは、貼り重ねによって生まれる“層”の表情。
貼る・重ねる・撫でる。
手作業の積み重ねが、自分だけの愛着ある一点になっていく時間でした。

一閑張りは、古いものを“直す“だけではなく、手作業の時間を重ね直すような技法。
傷や跡も紙の層の中に取り込まれ、世界にひとつの景色になっていきました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

 

 

 

2026/02/21|アートスクール

『教えてほしい、要一郎さんのお弁当』麻生要一郎/料理家・文筆家 

2月に入ってすぐの土曜日、夜時間の景丘の家は大人の方々で賑わっています。

今日は料理家であり、文筆家としてもご活躍な麻生要一郎さんをお迎えしてお弁当についてのあれやこれを教えて頂きました。

お弁当ってとても身近なものだけど、いざきちんと作ろうと思うと、なんだかハードルが高かったりしませんか?

お弁当を作るにあたって、気にかけていることや使っている調味料の話など、参加されている方々の疑問にひとつひとつ柔らかに応えてくれる要一郎さん。

お弁当のおかずは、、、
唐揚げ・焼き魚・卵焼き・青菜のおひたし・切り干し大根・うりの粕漬け・みょうがの酢漬けです。

名物と言ってもおかしくない、要一郎さんのお品書きから始まったお弁当作り。

それぞれのテーブルに分かれておかずを準備していきます。

卵焼きをうまく焼くコツは 何度も焼くこと!!
本当にその通りで、回を重ねるうちにとてもふわふわであたたかい卵焼きが焼けていました。

皆さんが気になっていた要一郎さんの唐揚げは、梅酢とお酒で下味をつけます。
鶏肉の色が白くなってきたら、味が染み込んできたサイン。
卵にくぐらせて片栗粉をつけたら、しっかり色がつくまで揚げるのが要一郎式です。

青菜のおひたしと切り干し大根も、要一郎さんらしい、とっても優しい味付け。

さぁおかずができたら、お弁当に詰めましょう。

卵焼きから詰める要一郎さんを目の前に、皆さんびっくり。
お米からじゃないんですか???という言葉に、たくさんの方がうんうんと頷く場面も。

『こうして詰めたらゆすっても、ずれないでしょう?』

目にも口にも美味しいお弁当のおかずを、要一郎さんから教えていただいたように詰めていく皆さんの表情はとても真剣で素敵でした。

詰めたらみんなで囲炉裏を囲んで、お弁当を食します。

丁寧に気持ちをこめて作ったお弁当は、どれをとっても幸せな気持ちにしてくれます。

家族や大切な人に、そして自分にも。
今日のことを思い出しながら、お弁当作りをしてくれたら嬉しいです。

要一郎さんのお弁当に込められたおもいが、これからもたくさんの人に届きますように。

     

2026/02/21|アートスクール

『光るすいぞくかんをつくろう』STUDIO pippi しげおかのぶこ/toy designer フォトレポート

こども向けワークショップ『こどもじっけんしつ』を通して、楽しいものづくりやあそびを提案しているSTUDIO pippi・しげおかのぶこさんによる『光るすいぞくかんをつくろう』は、海のいきものをテーマに開催しました。

図鑑で見魚お魚やクラゲや、ちんあなご。そして「こんなのいたら面白い?」という空想の生き物まで、子どもたちはのびのびとダイナミックに描き出します。

下描きのあとは紙を切り抜き、いつもと少し違う絵の具を使って、点や線など自由に彩っていきました。太い筆で大胆に塗る子もいれば、細かな模様を重ねている子など、表現は実にさまざま。完成した作品を持って地下へ移動し、壁一面に貼り出して“みんなの水族館“が完成です!

最後に照明を落として特別なライトを当てると、暗がりの中で絵の具がふわりと光り、魚たちが現れて海の中にいるようでした。少しの手間と工夫でいつもと違う想像力が味わえる、そんなひらめきのある体験となりました。

 

2026/02/10|アートスクール

『パレスチナのおやつクナーファを作ろう ~そのクナーファはだれのものか~』山田柊/クナーファ屋 店主 フォトレポート

夜のアートスクールにて、パレスチナ・シリアで親しまれている伝統的なおやつ
「クナーファ」をつくるワークショップを開催しました。

講師は、クナーファ屋店主の山田柊さん。
学生時代からアラブ地域の紛争や難民問題に関心を寄せ、関わり続ける方法としてクナーファ屋を始めた山田さんは、お店を営む中で生まれてきた問いを大切にしながら活動されています。

今回は、ただ作って食べるだけではなく、山田さんがお店を営む中で考える「消費」というテーマを持ち寄り、みんなで対話を通して考える時間となりました。

はじまりは、いろりを囲んでの自己紹介。
「今日呼ばれたい名前」とその理由を一人ずつ共有していきます。
ニックネームや、普段はあまり呼ばれない名前。
その人らしさや今の気持ちが自然と表れていて、はじめまして同士の緊張も少しずつほどけていきました。

続いて、「消費」について、みんなで問いを出す時間。
時間の消費、ものの消費、心を満たすための消費。
「自分にはどのくらいのものが必要なんだろう」
「なぜ消費には、どこかネガティブなイメージがあるんだろう」
日常の中でふと感じていた小さな違和感が言葉になり、身近なテーマからいくつもの問いが立ち上がっていきました。

話してもいいし、話さなくてもいい。
自分の言葉を大切にすること、人の話をしっかり聞くことをルールに置いた対話の時間。
はじめての対話でしたが安心して参加できたという声もありました。

一旦それぞれの問いを横に置き、キッチンへ移動してクナーファづくりへ。
小麦粉でできたサクサクの生地に油を混ぜ、たっぷりのチーズを敷き詰めていきます。
「これは何からできているんですか?」
「現地ではどんなふうに食べられているんですか?」
手を動かしながら、自然と質問や会話が生まれていきました。

大きな鉄板ひとつを囲み、みんなで同じ作業をする時間は、不思議と人と人との距離を縮めていきます。
鉄板にきれいに敷き詰められたクナーファはいろりへ。
山田さんが丁寧に焼き上げていく間、再び輪になって対話の時間です。

問いのテーマは、参加者みんなで選んだ「自分の時間の消費について」。
仕事や家事、自分が豊かだと感じる時間。
私たちは日々、何に時間を使って、どう感じているのだろうか。
20代から60代まで、それぞれの人生のタイミングや背景によって、
「消費」の捉え方の違いがあるのも印象的でした。

どんなふうにものや時間と関わっていきたいのか。
自分が取り入れていくものについて、さらに問いが生まれた時間になったように感じました。

クナーファの焼き上がりとともに、対話の時間はいったん終了。
こんがりと焼けた表面にシロップをかけて切り分けると、
中のチーズがのびる!
はじめて食べる食感と、どこか親しみのある味に、
みなさんから笑顔が見えました。

食べながらも、感想を伝え合ったり、さきほどの問いにもう一度立ち返ったり。
食べることと考えることが、ゆるやかにつながる豊かな時間でした。

自分と消費との関係について、すっきりする答えが出なかった方もいるかもしれません。
「わからない」で終わらせるのではなく、わからないなりに話し、知ろうとすること。
誰かと話すことで逆にモヤモヤすることがあるかもしれませんが、
そのモヤモヤが思考の広がりをつくってくれるのかもしれません。

対話とクナーファが静かに交差したこの時間が、
参加者のみなさんの日常を、ほんの少し違う角度から見つめ直すきっかけになっていたら嬉しいです。

 

2026/01/24|アートスクール

『Kurogo Me version 1.9+Kurogo Me, Together! + Commodify Me! 〜黒衣をよくみてみんなで話そう!〜』芦澤いずみ/アーティスト・演出家・パフォーマー フォトレポート

みなさんは「黒衣」を知っていますか?
「黒子」の方が馴染みがあるかもしれませんが、元々は「黒衣(くろご)」といいます。

能や人形浄瑠璃で、観客からは見えないという暗黙のルールで登場する黒衣。
今回は、短い時間ながら参加者が黒衣との関わりを持つことで、
身近な社会、コミュニケーション、宗教文化など身の回りのものごとに対して、
観察と対話を通して、考察する時間となりました。

*今後「Kurogo Me version 1.9+Kurogo Me, Together! + Commodify Me!」にご参加予定の方は、ネタバレとなる部分があります。

会場では、白い衣装の芦澤さんが、歌舞伎の伝統的な動きをしています。
参加者が入場して席に着くとデジタルの映像で簡単な黒衣の説明があり、
続いて芦澤さんがノンバーバルで再び登場。

静かな会場。
止まっている芦澤さん。
顔を見合わせる参加者。
そして、ひとり、ひとりと、黒衣の衣装を芦澤さんに着せていきます。

黒衣になった芦澤さんの短い即興のパフォーマンスの後、
よく見ると、黒衣の衣装はあと2着。
顔を見合わせつつも2人の参加者が前へ。
そして2人を他の参加者が少しずつ黒衣に変えていきます。

3人の黒衣のパフォーマンスが終わると。
スクリーンには3つの問いが出ました。

What did you see? – 何をみましたか?
What did you experience? – 何を体験しましたか?
How did you interpret? – どう解釈しましたか?

今回の講座は、小学生から50代までの幅広い世代の方が参加してくださり、
後半の対話では、様々な言葉が飛び交いました。

自分はこうだと思ったことが、相手にはそう見えていないこと。
どのような背景や立場かによって全く違った経験となること。
社会生活の中での「見えないもの」「見ないようにしているもの」への思考。
そして、ルールや規則の成り立ちについて。

参加者さんからは
・衣装を着せる行為は、一見すると一方的でありながら、そこにコミュニケーションを感じる瞬間があった。
・黒衣の匿名性から、SNSやネット上のやりとりについて考えた。
・なぜ、そこにいるのにいないと感じるのか。行動と意識と認識の関係性について考えた。
などの感想がありました。

お互いの気づきや発見、思考の深まりにつながり、対話はとても盛り上がりました。

伝統的な「黒衣」という存在を媒体とし、色々な思考が見えたワークショップ。
終了後も、そこここで対話が続いていたことも印象的でした。

 

2026/01/22|アートスクール