おしらせ

『パレスチナのおやつクナーファを作ろう ~そのクナーファはだれのものか~』山田柊/クナーファ屋 店主 フォトレポート

夜のアートスクールにて、パレスチナ・シリアで親しまれている伝統的なおやつ
「クナーファ」をつくるワークショップを開催しました。

講師は、クナーファ屋店主の山田柊さん。
学生時代からアラブ地域の紛争や難民問題に関心を寄せ、関わり続ける方法としてクナーファ屋を始めた山田さんは、お店を営む中で生まれてきた問いを大切にしながら活動されています。

今回は、ただ作って食べるだけではなく、山田さんがお店を営む中で考える「消費」というテーマを持ち寄り、みんなで対話を通して考える時間となりました。

はじまりは、いろりを囲んでの自己紹介。
「今日呼ばれたい名前」とその理由を一人ずつ共有していきます。
ニックネームや、普段はあまり呼ばれない名前。
その人らしさや今の気持ちが自然と表れていて、はじめまして同士の緊張も少しずつほどけていきました。

続いて、「消費」について、みんなで問いを出す時間。
時間の消費、ものの消費、心を満たすための消費。
「自分にはどのくらいのものが必要なんだろう」
「なぜ消費には、どこかネガティブなイメージがあるんだろう」
日常の中でふと感じていた小さな違和感が言葉になり、身近なテーマからいくつもの問いが立ち上がっていきました。

話してもいいし、話さなくてもいい。
自分の言葉を大切にすること、人の話をしっかり聞くことをルールに置いた対話の時間。
はじめての対話でしたが安心して参加できたという声もありました。

一旦それぞれの問いを横に置き、キッチンへ移動してクナーファづくりへ。
小麦粉でできたサクサクの生地に油を混ぜ、たっぷりのチーズを敷き詰めていきます。
「これは何からできているんですか?」
「現地ではどんなふうに食べられているんですか?」
手を動かしながら、自然と質問や会話が生まれていきました。

大きな鉄板ひとつを囲み、みんなで同じ作業をする時間は、不思議と人と人との距離を縮めていきます。
鉄板にきれいに敷き詰められたクナーファはいろりへ。
山田さんが丁寧に焼き上げていく間、再び輪になって対話の時間です。

問いのテーマは、参加者みんなで選んだ「自分の時間の消費について」。
仕事や家事、自分が豊かだと感じる時間。
私たちは日々、何に時間を使って、どう感じているのだろうか。
20代から60代まで、それぞれの人生のタイミングや背景によって、
「消費」の捉え方の違いがあるのも印象的でした。

どんなふうにものや時間と関わっていきたいのか。
自分が取り入れていくものについて、さらに問いが生まれた時間になったように感じました。

クナーファの焼き上がりとともに、対話の時間はいったん終了。
こんがりと焼けた表面にシロップをかけて切り分けると、
中のチーズがのびる!
はじめて食べる食感と、どこか親しみのある味に、
みなさんから笑顔が見えました。

食べながらも、感想を伝え合ったり、さきほどの問いにもう一度立ち返ったり。
食べることと考えることが、ゆるやかにつながる豊かな時間でした。

自分と消費との関係について、すっきりする答えが出なかった方もいるかもしれません。
「わからない」で終わらせるのではなく、わからないなりに話し、知ろうとすること。
誰かと話すことで逆にモヤモヤすることがあるかもしれませんが、
そのモヤモヤが思考の広がりをつくってくれるのかもしれません。

対話とクナーファが静かに交差したこの時間が、
参加者のみなさんの日常を、ほんの少し違う角度から見つめ直すきっかけになっていたら嬉しいです。

 

2026/01/24|アートスクール

日本の郷土ごはん vol.34 『香川:もっそうめし』 フォトレポート

伝統的な郷土料理をみんなでつくり、各地を旅する気分でおいしくいただく「景丘の家 こども食堂」。
今月は香川県の郷土料理「もっそうめし」「まんばのけんちゃん」「さわさわ」をつくりました。

「もっそうめし」は、木製の型(物相/もっそう)に寿司飯や五目飯を詰めて抜いたもの。修行僧の精進料理がルーツで、一膳のごはんで全てを済ませるために考案されたとも言われます。今回は湯飲みを使って円柱型に抜いてみました。

「まんばのけんちゃん」は本来「まんば」という高菜の一種を使いますが、今回は東京でも手に入りやすい小松菜で代用します。煮干しや豆腐、油揚げなど栄養満点の食材を醤油で和えたシンプルな料理ですが、素材の旨みが感じられる副菜です。

「さわさわ」は細長く切ったこんにゃくが主役の、とろみのある汁もの。さらさら流し込める食感が訛って、この名になったとか。とろみの正体は片栗粉ではなく、すりおろしたさつまいも。仕上げにおろし生姜やねぎも添えて、冬にぴったりの一品に仕上げます。

こどもたちはまず包丁で油揚げや小松菜、にんじん、こんにゃくなの材料を切る作業からスタート。全員分なのでまるでお店のような量! でもみんな「やったー!いっぱい切れる」「どんどん上手になるよ!」とやる気満々です。

続いて、「もっそうめし」の具材を煮たり、「まんばのけんちゃん」をフライパンで炒めたり。具だくさんの「さわさわ」もじっくりと煮込んでいきました。「火を使う作業は初めて」という子も多く、ちょっぴりドキドキしながらも楽しそうな笑顔が広がります。

先ほど煮含めた具材を炊きたてご飯にしっかり混ぜ込んだら、おいしそうな3品が完成です!

香川の素朴でやさしい味わいに、食卓は誇らしげな笑顔と「おかわり!」の声に包まれました。

みんなでつくって、みんなで食べる──
2026年もたくさんの郷土料理と出会いながら、こどもたちと一緒に豊かな時間を育んでいけたらと思います。
今回も「大地を守る会」をはじめ、多くの方々のご協力のもと、こども食堂を開催できたことに心より感謝申し上げます。

 

2026/01/23|景丘の家・こども食堂

『Kurogo Me version 1.9+Kurogo Me, Together! + Commodify Me! 〜黒衣をよくみてみんなで話そう!〜』芦澤いずみ/アーティスト・演出家・パフォーマー フォトレポート

みなさんは「黒衣」を知っていますか?
「黒子」の方が馴染みがあるかもしれませんが、元々は「黒衣(くろご)」といいます。

能や人形浄瑠璃で、観客からは見えないという暗黙のルールで登場する黒衣。
今回は、短い時間ながら参加者が黒衣との関わりを持つことで、
身近な社会、コミュニケーション、宗教文化など身の回りのものごとに対して、
観察と対話を通して、考察する時間となりました。

*今後「Kurogo Me version 1.9+Kurogo Me, Together! + Commodify Me!」にご参加予定の方は、ネタバレとなる部分があります。

会場では、白い衣装の芦澤さんが、歌舞伎の伝統的な動きをしています。
参加者が入場して席に着くとデジタルの映像で簡単な黒衣の説明があり、
続いて芦澤さんがノンバーバルで再び登場。

静かな会場。
止まっている芦澤さん。
顔を見合わせる参加者。
そして、ひとり、ひとりと、黒衣の衣装を芦澤さんに着せていきます。

黒衣になった芦澤さんの短い即興のパフォーマンスの後、
よく見ると、黒衣の衣装はあと2着。
顔を見合わせつつも2人の参加者が前へ。
そして2人を他の参加者が少しずつ黒衣に変えていきます。

3人の黒衣のパフォーマンスが終わると。
スクリーンには3つの問いが出ました。

What did you see? – 何をみましたか?
What did you experience? – 何を体験しましたか?
How did you interpret? – どう解釈しましたか?

今回の講座は、小学生から50代までの幅広い世代の方が参加してくださり、
後半の対話では、様々な言葉が飛び交いました。

自分はこうだと思ったことが、相手にはそう見えていないこと。
どのような背景や立場かによって全く違った経験となること。
社会生活の中での「見えないもの」「見ないようにしているもの」への思考。
そして、ルールや規則の成り立ちについて。

参加者さんからは
・衣装を着せる行為は、一見すると一方的でありながら、そこにコミュニケーションを感じる瞬間があった。
・黒衣の匿名性から、SNSやネット上のやりとりについて考えた。
・なぜ、そこにいるのにいないと感じるのか。行動と意識と認識の関係性について考えた。
などの感想がありました。

お互いの気づきや発見、思考の深まりにつながり、対話はとても盛り上がりました。

伝統的な「黒衣」という存在を媒体とし、色々な思考が見えたワークショップ。
終了後も、そこここで対話が続いていたことも印象的でした。

 

2026/01/22|アートスクール

日本の郷土ごはん vol.33 『群馬:おっきりこみ』 フォトレポート

伝統的な郷土料理をみんなでつくり、各地を旅する気分でおいしくいただく「景丘の家 こども食堂」。
2025年の最後を飾る今回は、群馬県の郷土料理「おっきりこみ」「こんにゃく味噌おでん」「上州きんぴら」を楽しみました。

「おっきりこみ」は、幅広の麺を野菜と一緒に煮込む素朴な鍋料理。麺生地を麺棒に巻きつけて包丁で“切り込み”を入れる工程に由来して名付けられました。

「こんにゃく味噌おでん」は、こんにゃく芋の生産量が全国一を誇る群馬ならではの料理。甘辛い味噌だれとの相性が抜群で、冬の定番として親しまれています。

「上州きんぴら」は、1983年の「あかぎ国体」をきっかけに、群馬の特産品を生かして生まれた新しい郷土料理。甘辛い味付けが相まって、子どもたちにも大人気の一品です。

今回の3品は、切る作業がたくさんあります。用途に合わせて切り方を変えながら、丁寧に切りそろえました。

続いて煮炊きの工程へ。おっきりこみの、具だくさんのおいしそうな見た目と、なんともいえないいい匂いに、こどもたちから「おなかすいた!」「早く食べたい!」の声があがります。

上州きんぴらは、まず豚肉を炒め、太めに切ったごぼうとにんじんも入れてじっくり炒めます。焦げないようにしっかり混ぜ続けたこどもたち、最後の味見では「おいしい!これ、いっぱい食べたい!」の歓声があちこちから。

下茹でしたこんにゃくを三角に切って串を刺し、味噌だれを添えたら、「こんにゃく味噌おでん」も完成です。

かまど飯もつやつやに炊きあがり、食卓をみんなで囲んで「いただきます」。
おかわりをする子もたくさんいて、満足感いっぱいの笑顔が広がります。ご寄付でいただいたりんごもカットして、デザートにおいしくいただきました。

滋味あふれる群馬の味に、年末の慌ただしさを忘れて、豊かな時間が流れた景丘の家でした。

“みんなでつくって、みんなで食べる。”
今年も1年間、「大地を守る会」をはじめ、たくさんの方々のご協力により、こども食堂を楽しく開催することができました。心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

今年もこのメンバーで「景丘の家・こども食堂」を走り切ることができました!
いつも細やかにサポートくださるボランティアさんたちに心からの感謝を。

 

 

 

2025/12/25|景丘の家・こども食堂